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「それぞれの基準」
冬のこの季節、朝お店に行きますと室温は2度前後、ほぼほぼ外気と変わりません。古い日本家屋を
手直ししたギャラリーなので、もちろんサッシなんてもんは無くて、隙間風がピューピューです。
ファンヒーターとストーブ2台をフル稼働して15度くらいにはなるのですが、お客様には少々寒い
思いをして頂いているかもしれません。私は毎日そんな環境なので慣れていて代謝も良くなり風邪も
引かずに身体には良さそうで、ある意味これが健全で、昔の人は凄い!くらいに思えて嬉しいです。
実はこれが自宅に帰ると妻とのケンカの火種になります。帰宅してリビングに入ると、
まるで常夏の様な暑さ。ファンヒーターの設定温度を見ると22度設定。ボンボンとうねりを上げて、
まるでストーブの最高出力テストでもしてるのかと思うくらいです。今年は灯油も高いですし、私は
せいぜい18度もあれば暑過ぎる身体になっているものですから、ピッピッピッと設定温度を下げると、
「寒いから勝手に下げないでよー」となって、些細なケンカの始まりとなります。(ほぼ毎日・・・)
基準の違いで、自分では当たり前と思っていることも、環境や使う人が変わればここまで違うかと
思わされる話です。ここでこの話が終われば、私の嫁に対するただの愚痴をお聞かせしたに過ぎず、
何ともレベルの低いお話ですが、ここからです。
今回25日から開催される吉田明展では、先生がご生前のころ、個展などで10数万していた茶碗が、
2万円や3万円などでお求め頂けます。もちろんこれには条件もあるのですが、例えば箱が付きません。
そして吉田夫人も体調優れずで識箱の箱書きもされません。つまり作品だけのお値段ということです。
(作品を保護するための桐箱の製作はご希望なら承ります。)
それは今展の主題でもありますが、使って欲しいと云う願い、いつまでも側に置いてほしい、そんな想い
と、少しでも多くの方に求めて頂けてお持ち頂けることが主旨となっています。
ですから、茶碗としたら例えば18万していた茶碗が2万円なんて安すぎる、日々お茶を点てて愉しむ
方にはこの上なくありがたいわけですが、それが器として鉢として使う目的としたらどうでしょうか。
もともと器として作られた若手作家の鉢や向付けならそんなにもしないわけですから。
ですが、器に関して一定の理解と認識がある方であればお分かりの通り、茶碗として作られたものの
クオリティは流石にただならぬ空気感を放っています。そんな器はない。それが吉田品質であれば
なおさらです。
酒席の場に肴を盛るこの上ない器として見ることが出来てそれで2万なら安いものか、お抹茶を点てる
純粋な茶碗として2万は安いのか。それはそれぞれの基準が存在します。
でもこれだけは云えます。その器はどちらで使っても良いのです。飯碗としたとしても良いのです。
2019年2月吉日 大越拝


吉田 明 黒織部茶碗 





「お見逃しなく」
今年は2月になっても雪がなく、日中10度を超える温かな日もあったりで、このまま春になれば
いいのになー、なんて思ってましたらそうはいきませんでした。!やはり雪国なのです。
春が少し先送りといった感じですが、雪景色もまた良いものです。

さて、ご案内の通り、25日からは吉田明先生の回顧展、第3弾をお贈りいたします。
今回の特徴は、実際に使われた吉田明作品をご覧頂いたり、特に粉引の優品が揃っていますので
使い込んでの愉しさ、魅力を感じて頂ければと思っています。そして最大の魅力はお値段です。
吉田先生が60歳で亡くなられ11年目、吉田夫人もご高齢とあり、体調もあまり優れないため、
ゆくゆくのことも考えるとあまり時間もなく、「より多くの皆様に吉田の作品を知って頂きたい。」
使ってみて頂きたい。」その想いから、今回は大幅に価格を下げたかたちでの開催となります。
4回目があるか、それは正直わかりません。でも今買っておかなければ、新しい作品は生まれて
きませんし、本当に良い器とは何か、それを知る上でも吉田さんの器は大きな参考資料です。
こんなまたとない機会、見逃す手はございません。是非多くの皆様にお手に取って頂きまして、
その良さをお感じ頂けましたら幸いです。どうか是非お見逃しなきようお願い申し上げます。
2019年2月吉日 店主 大越拝


吉田 明 粉引碗 左が使用されたもの、右は同手の未使用品


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昨年の12月にお客様よりお誘いを頂きまして、長野市内で忘年会に参加をさせて頂きました。
大変素晴らしい内容でしたので、茶会記ならぬ酒会記にしておきたいと思いまして記録して
みました。本当は茶会記様式に縦書きにしたかったのですが、いまひとつ雰囲気出ず恐縮です。
今後もお招きを頂いた時にご紹介させて頂こうと思っています。
「酒会記」は写真ではなく、文字だけと云うところがポイントでして、皆様のご想像で場景を想い
画いて頂けましたら幸いです。

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酒会記

床 (画) 平山郁夫 「善光寺」 / 澤 克典 信楽壷

<酒肴> 創作懐石
前菜  カモロース・さつまいもの甘煮・野沢菜漬け / 器 澤 克典 弥七田織部向付

向付(お造り) 〆さば・かます焼霜作り / 器 深見文紀 絵志野向付 ・樋口雅之 鼠志野小付

炊き合わせ  牛と大根のやわらか煮 / 器 西岡 悠 黄瀬戸輪花向付

焼き物  寒鰤の照り焼き 太しめじ・日本かぼちゃ添え / 器 近藤正彦 備前薔薇皿

揚物  どじょうの唐揚げ / 器 鈴木 都 紅志野向付

香の物  器 澤 克典 織部小向付

※器は全てつた弥様

<お膳>
根来隅切膳 (桃山時代) /ご参加者所蔵品

<酒>
栄光富士(山形)
一滴二滴(長野)
美寿々(長野)

以下ご参加者持参の逸品色々
<酒器>
金重晃介 備前緋襷徳利
吉田 明  粉引徳利
<酒盃>
吉田 明 粉引盃
李朝染付盃
黄瀬戸六角盃(時代)
山口真人 鼠志野ぐい呑
梅田健太郎 絵唐津ぐい呑
竹花正弘 斑唐津盃
古伊万里白磁猪口
金重潤平 備前酒呑
澤 克典 信楽ぐい呑
金重晃介 備前酒呑

ところ
山帰来 つた弥  (長野市) /料理人 宮澤 達  Sankirai Tsutaya by Satoru Miyazawa
2018年12月吉日

記録 ギャラリー謙信庵 店主大越文彦

※酒宴となりました善光寺西口の「つた弥」さんでは現代作家の器を沢山揃えておられまして、
4−6名であれば、作家の器だけの個別のコース料理などもご用意されております。
工芸好きにはたまらないひと時をご提供されています。

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「やってみること」
大古伊万里展も今週が最後となりました。雪の舞う中、多数のご来店を賜り御礼を申し上げます。
この季節、日本海では甘エビ(南蛮海老)が産卵の時期で子持ちの甘エビがスーパーに並びます。
丁寧に殻をむいて子を取り出して、お醤油に混ぜまず。身はそのままでも良いのですが、叩くと
甘さが増すようで美味しく頂けます。冬のヒラメも脂がのっています。
そんな肴が手に入り、今一度試してみたい器がありました。
今展、色絵の華やかな古伊万里が並ぶ中、手抜きとも思える一番簡素な染付の長皿です。
片側にしか描かれていない松竹梅の図は、お刺身とひとつの景色となって見えてきました。
これはすごい。この簡単なえだけでお料理を映えさせる力があるんです。同時に潔さみたいな、
清々しい風が流れていくのを感じます。手抜きとは何たる思い込みか。
お料理人の指示か、陶工の粋さか、どちらにしてもこうなることを分かっている人の仕業としか
云わざるをえません。この時点ではじめて完全に恐れ入りましたと云う瞬間が訪れます。
そんな瞬間こそが工芸の愉しみではないでしょうか。あらためて痛感させられた瞬間です。
お求めの器にも、まだ気づいていない魅力が詰まっているかもしれません。
やってみることでしか分からない、それが工芸です。
2019年1月吉日 店主 大越拝




この徳利は伊勢崎晃一朗さんの初期の徳利です。燗で使うのは初めて。使ってみれば、竹節の首が
鍋の縁に丁度あたる感じでとても安定して燗がつけれます。新発見であります。備前の徳利は熱伝導
も良く燗酒には最適です。冷めずらいのも備前の特徴ですね。





「揃っていること」
皆様、新年あけましておめでとうございます。今年最初のメッセージ更新です。
こちら新潟の話ではございますが、今のところ雪も少なく助かっております。この週末連休もお天気は
まずまずのようで、新春大古伊万里展もスタートがきれそうです。
今展はお知らせの通り、蕎麦猪口と色絵の器を沢山集めました。もちろん人気の染付も充実です。
器類は同じものが五客、六客と揃っているものを多く扱っています。やっぱり器は揃っていると
とても見え方が良いですし、心地よい緊張感も出ます。お料理やさんなどは当然ですが、ご自宅で
やるときにも是非必要な分だけではなくて、きちんと数を揃えておくことも将来的には器の価値も
上がりますし、所有する喜びも大きくなります。同じものはその時でなければ、あとあと探しても
そう見付かるものではありません。作家さんの器も同様です。大人買いではありませんが、気持ちよく
スパッとセットでお求めのお客様を見ると、とてもかっこよく見えます。お客様の心意気も含めて粋な
器使いを是非期待しております!とわ云え、一人二人でお愉しみの方々に五客、六客は厳しいですね。
そこはご相談下さい。そういったご要望にもきちんと向き合っております。ただ、気持ちとしてはですが、
やはり一人で使うしかなかったとしても、それを五枚持ってるんだよ、って自慢できる方がかっこいいです。
同時にこの人は器の分かる人だ。となります。結果的にですが工芸を育てる、作家を育てると云うことは、
そうしたことからも大いに繋がるものです。今なぜ、この200年も300年も経過した古いやきものの器が、
同じ窯の同じ手のものが揃って目の前にあるのかを考えねばなりません。
2019年1月吉日 店主 大越拝














「お正月のオリベ」
今年も数々の展覧会を開催して参りました。本当に多数のご厚情を賜りまして誠に有難うございました。
澤さんの展覧会が本年最後となりました。どうぞ最後まで宜しくお願い申し上げます。

先の展覧でご紹介した古伊万里も時代の流れの中でただただ使われるために焼かれていた器です。
その筆致や形状には衒いのない器としての道具としての完成度を見ます。そこが好きな理由です。
前にも述べましたが古ければ良いわけではありません。そんなことを証明してくれているのが澤さんの
織部の器です。今の時代だからこそ似合うもの、現代のスタイルに無理なく取り入れられる器こそが、
その時代を後世に残し、器の良さをつないでいきます。
澤さんの絵付けも5,6年前に比べれば比べものにならないくらい板に付いている感じが心地よく、
お料理が盛られればたちまちその良さを見せつけます。写真の様に全て澤さんの織部でやることは
なかなか難しいことではありますが、同じ作家の器で揃えてみると、その作家の世界観が痛快です。
そもそも織部は、桃山時代、驚きや意外性、明るさや華をもたらす器であったと考えられます。
重箱の蓋を開けた時の、「わあっ」という感動みたいなもの。そんな心躍る器でございます。
是非この年末年始、澤さんの織部の器をご用意されてみてはいかがでしょうか。
今回は豆皿などの小物も大変充実しております。新作の銚子や三盃、取り皿や向付も魅力です。
今年をしめくくる器が並んでおります。澤さんに心から感謝申し上げますと共に、今年も皆様と工芸を
愉しませて頂いたこと、ご縁を賜りましたこと、重ねて御礼を申し上げます。
2018年12月吉日 店主 大越拝





「お正月らしさ お正月の器」
12月にして気温が20度を超える異例の気象状況。暖かいのはありがたいですが季節感が
ちょっと変な感じです。この週末からいよいよ本格的な寒気が到来しそうです。寒暖の差に
身体がついていきません。どうか皆様もご多忙な年末です、ご自愛くださいませ。

「ご多忙」と云いますと、歳を重ねるほどに、とにかく一年が早くて驚きます。忙しいから早い、
ということもあるかもしれませんが、大人と子供では時間の流れがどうも違うようです。
それは「経験」がそうさせるそうで、子供は未体験のことが多いため、常にそのことへの期待や
不安、楽しみを抱いて過ごしているから、先々の読めない出来事を待つことが多くなります。
「楽しみは先にとっておく」なんてことは大人はあまりないですが、子供は常にその状態で、待てば
待つほど時間は長く感じるために、長いスパンで見ると時間の流れが遅く感じているようです。
大人は経験が邪魔をして、これから起こること、もしくは、これから行くところや見たいものが、
ある程度事前に予想がつくために、あまりワクワク感やドキドキ感が少ないために、先々の
目標や出来事に対して楽しみが持てないようです。このことによって先々の楽しみを待つような
ことはあまりせずに、日々その時その時を生きていることで時間が早く感じるのだそうです。
大人も子供のように、例えば誕生日やクリスマスプレゼントを楽しみにする様な、半年や一年先に
楽しみを置いて、そこに向かって仕事や生活をしていたら、少しは時間が長くなるかもしれません。
「時の流れが早すぎる」というのは、正しく「事前に知り過ぎてしまった」からなのだと思います。
インスタやFBなどのSNSやネット検索で何でも直ぐに調べられたり見たりすることが出来ますが、
これも、例えば現地へ赴くことであったり、実際にその人に会い行って分かったこと、であるならば、
時間はきっと長く感じるのだと思います。平等に与えられた時間です。どう感じるかの違いは
人生においてあまりに大きいと感じる今日このごろでございます。

そのことと大いに関係すると思いますが、「お正月らしいお正月」ってなんでしょうか。これも幼き
ころは親に連れられて祖父母の待つ実家に帰省したり、そこで起こることや知らない親戚の人に
合ったりで、色々なお正月の空気みたいなものが確かに存在していたように思います。
普段見たこともない器で出てきたお料理、見たこともないお正月飾りやしつらいであったり。全ては
お正月の経験した回数が少ないことから、ある種の「新鮮味」に置き換えることが出来るでしょう。
では、「最近お正月らしさが感じられない」 ままで良いのでしょうか。なんかもったいない気がします。
忙しく日々を過ごし、さつばつとした社会に身を投じる毎日だからこそ、そこは大切にしなければ
ならないのではと思います。開催中の古伊万里特集もそうですが、15日(土)からは今年最後の
展覧会「 澤克典 お正月のオリベ 」 を開催します。この二つの企画は正にそこに当てたものです。
来年は年号も変わります。平成最後のお正月。是非少し先の楽しみとお正月らしさを探求されて
みてはいかがでしょうか。
2018年12月 店主 大越拝


古伊万里大なます皿 江戸後期




「アンティークの世界」
しばらくの間、備前の吉川恵司さん、金重備前の秀作をご覧頂いて参りました。
備前は鎌倉室町、更には平安にさかのぼる須恵器の影響も受けた古い様式のやきものです。
土という素材に魅せられ、これまで数々の著名な蒐集家によってその魅力も伝えられてきました。
本当に良いものというのは、古いも新しいもありません。ただ、自分にとってどんな備前が好ましいか、
ただそれだけで良いのだと思います。様々な知識を葬り去って、自分の中に何が残るか。
そのピュアな眼で選択されていかれたら良いと思います。ご高覧ご厚情に感謝申し上げます。

さて、今年は何時になく、古いものの特集を重ねてきました。今年で四回目の今展です。
古伊万里と云うと、最近はなんだか有り触れた感があって、古美術というよりは古民芸。
しかし、初期伊万里や、全盛期と云われる元禄伊万里(江戸中期)ごろのものとなれば、
非常に繊細でハイレベルなものも多く、その価格もやや高価と云えるでしょう。
しかし、その流れを汲んで、それでも職人が端正込めて心を込めて作られた伊万里には、
大変魅力的なものもございます。価格の面でもですが。それが江戸後期の伊万里です。
10年も前からすれば、随分とお求め易くはなりました。でも、厳選しなければなりません。
皆様にお薦めする今回の古伊万里。なかなかいい味を出しています。
是非お手に取りご覧頂きたく存じます。
古伊万里の他にも年末年始にもお愉しみ頂きたい古きもの色々満載です。

それから最後にもうひとつだけ、アンティークの世界について。最近は古美術や古民芸に
若い方々が随分と関心をもたれており、古物を好む方も増加傾向にあるように思います。
ただ、気を付けねばならないことは、「古いから良いもの」ではありません。更には、
新しいもの(今の作家のも)が使えていなければ、古いものの魅力は半減してしまいます。
(言い換えれば、物の良さが見れない。伝わらない。ブランドに走る怖さ)
今生きる私たちが今のものを見なければ始まりません。その上で古いものが活きてくること、
それを忘れてはならないのです。
2018年11月吉日 店主 大越拝





染付山水 差身皿(刺身皿)拾人前  



































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