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「令和」
新しい時代の幕開けです。皆様、令和元年おめでとうございます。
平成から令和へと移り、お祝いムードの日本列島です。私も3日間お休みを頂きました。
日本人一人ひとりがより豊かな時間を過ごせますように、心より祈念いたしております。
GW後半、残り3日となりました。お休みにギャラリーの草刈をしてましたら、今年初、「蛇」に出会いました。
正直苦手なのですが、冬眠から目覚め活動を開始した蛇さん。どこか機敏さにかけて愛嬌がありました。
花粉症なのに油断してマスクせずに草刈してましたら、鼻水が止まりません。鼻づまりでお酒の味も
分からないありさまです。
展覧会も連休中で終了となります。まだまだサイトでもご紹介出来ていないお品が沢山です。
連休の最後、新元号をお祝いし、お客様感謝デーを4日(土)、5日(日)、開催しております。
「骨董で食べる・呑む」古伊万里で食べる備長炭焼き鳥をご用意しております。
店主がギャラリー前で焼き鳥を焼いておりますので、是非冷やかしに遊びにいらして下さい。
地酒やビールもご用意しております。お飲みになられます方はお車でのご来店はお断りしております。
何卒ご協力を宜しくお願い申し上げます。ご参加は無料です。どうぞお気軽にお出かけ下さいませ。

お休みにホームセンターに行きましたら野菜の苗が沢山売っていました。子供が興味を示したので、
今年は茶豆を育ててみることにしました。子供と一緒に土をいじり、ひと時、心地よい汗を流しました。
荒れた土地を草取りし耕し、肥料を混ぜてふわふわな畑が出来ました。整然と並ぶ枝豆の苗。
子供ながら感じてくれたことがあったようです。
2,019年5月吉日 店主大越拝










「お膳の薦め」
観桜会も15日で終わり、賑わいを見せた市内もひっそり落ち着いた感じです。日中20度を超えて暖かく
なったかと思えば今日は10度も気温が下がっています。まだまだ暖房器具が仕舞えない日々です。
そんな中、古いものをご覧頂く展覧が始まっております。今回も面白いものが色々ございます。
ここではちょっと「お膳」について考えてみたいと思います。
日本はもともと板の間や畳が当たり前でしたが、西洋式の家具やインテリアの普及によって、食卓も
テーブルやイスといったスタイルが普通になっています。テーブルでもロータイプの座布団を敷いて
座るタイプは和室などの空間設定がなかったりであまり使われておらず現実的ではないようです。
一家団欒の象徴とも云えた通称「ちゃぶ台」も今には忘れさられたアイテムといえますね。
お膳の良さはまずその「省スペース」にあります。これは逆にいまの時代には合ってると思うのですが。
限られた空間に、使う時だけ出してくる。重ねておけばお部屋の隅でも場所をとりません。
大きなダイニングテーブルよりは比較にならないほどの省スペースです。ただ、対面キッチンや
そもそもそうした作りでなかったり、何かと便利なダイニングテーブルに価値を置けば別ですが。
良さその2は「仕切られた空間」。僅か36cm四方のお膳ですが、意外と色々なものが乗ります。
しかし、出来るだけ無駄を省いて、出来れば一汁三菜、二菜くらいに留めて感じよく間を与えることで
器やお料理もすっきりと見えます。酒宴などでは正に効果的で、乗せた酒器や肴を盛った器が、
とにかく良く見えます。これもテーブルに雑多置いた時では味わいえないお膳の良さと云えるでしょう。
そしてお膳の良さその3は「語らい」です。仮にテレビのあるお部屋であるとしても、向き合って食べる
ことで、自然と目線は相手に注がれます。出来れば何もない空間がベストでしょうけれど、現実は難しい
と思いますので、場所は問いません。でもそんな場面でもお膳を前にすると何だかお行儀が良くなり、
背筋も伸びる気がします。あとは会話が弾むだけですね。
こうしてお膳の良さで考えていきますと、今の日本に必要なことが沢山盛り込まれています。
必要最小限であればこそ、無駄に食べ過ぎることもありませんし、しっかりと味わいえます。
沢山の贅沢に食べ物が無かった時代に、お膳は必然でしたでしょうけれど、ただそれだけではなく、
日本の良さを育む素晴らしい文化の一つと考えて間違いないと思います。
今では機会がないからと場所をとるからと簡単に捨てられてしまうお膳。当時は大変高価で大切な
ものでした。今にこそお膳を使ってみることで感じること、伝えていくことがあるのかもしれません。
2019年4月吉日 店主 大越拝





「耳盃の魅力」
今年は早くから草木が芽吹き、花を咲かせています。杉の花粉も例外ではなく、ここ数日特に
すごいです。3年くらい前から花粉症になり、目、鼻、のどまでひどい状況です。薬は気休め程度。
写真撮りやネットの更新も集中力なくままならない状況です。どうかご容赦下さいませ。
花粉症の皆様、大変かと思いますが、どうかこの季節、乗り切って参りましょう。!!

今展吉田明展では、これまでになく粉引の優品に恵まれております。茶碗や酒器が中心ですが、
中でも耳盃は数もあり選ぶ愉しみがございます。
そもそも耳盃のかたちは、李朝時代の祭器であった茶碗や鉢ほどのサイズの器で、それを現代に
おいて酒盃サイズに小さくしたものが作家作品にもみられます。本来精神性から生れている
神事的な要素を持つこの耳付きの器ですが、知らないかたは何とも特徴のあるもので面白いと
思われる方も多い様です。現代においてその表現は様々な感じ方で良いのだと思います。
両耳が上に向いた姿はどこか頑張っている様にも見えますし、羽根が付いて飛んでいきそうな、
そんな動きも感じさせます。実用では360度口縁が使える訳ではありませんが、前後で二か所、
手取りにおいて邪魔になるものではないと感じます。大振りでお酒も沢山入ります。
何より王様のさかずきの様なその存在感が魅力です。酒席の場も話題に欠きません。
更に吉田先生の真骨頂とも云うべき粉引で作られてますので、正に見逃す手はないと思います。
酒を吸い、まったり、しっとりする粉引の肌。使われた胎土や透明釉の堅さや厚さによっても、
個体の変化は様々です。時には酒肴を入れてみるのも良いでしょう。楽しみは無限です。
2019年3月吉日 店主大越拝



吉田 明 粉引耳盃



「下手な古美術より吉田明」
昨日と本日は久しぶりの定休日、にも関わらず、見せて下さーいとお客様の途切れることのない
吉田明展でございます。感謝しかございません。「飯碗を買いにきました」なんて方もおられて、
本当に有難く存じます。2万円の飯碗、おかげさまで大好評です。
吉田明さんの作品の魅力ってなんだろう、と考えますと、私は古いものも好きなので(実際に販売も
している訳ですが)そんな品々と違和感無く一緒に使える、と云うことでしょうか。
これは簡単なようでそうはいきません。古い物にはそれなりの経年変化と、生きた時代が違うために
確固たる説得力があるものです。それが現代を生きた人の作品にも有ると云うこと。
普通では有り得ません。
最近古美術に興味をもたれていて、色々なものを私の店に見せに持って来て下さる方も多くなって
いますが、そんな皆様に言いたいこと「まずそんなものより吉田明の作品を買いなさい」です。
私が現代陶芸に魅せられる部分と云うのはまさにそこにあります。古ければ良いってもんじゃない、
桃山陶や六古窯の様なブランドだから良いってもんでもありません。全てはそのものと素直に向き
合って良いと思えるかです。更に言えば好きと言えるかです。それだけのものです。
これを持ってるから凄い、とか、そんなことは一切関係がありません。
それは何より吉田明さんの手がけた作品を見れば理解できます。
2019年3月吉日 店主 大越拝




「どんな飯碗をお使いですか」
吉田明先生の回顧展がスタートして最初の土日を迎えようとしております。早速沢山のご来店を頂き、
本当にありがたい限りでございます。初日は予告もなく、吉田夫人がご来場。私も驚きました。
沢山の方とお話をされ、有意義な時間を過ごされておりました。お身体の調子、少し良いようです。

さて、今日は前回メッセージの続編ですが、今展の趣旨は吉田夫人のご好意の下で、出来るだけ
皆様にお持ち頂けるように価格を大幅に引き下げて販売をさせて頂いております。
「安売り王」的に見えた方もどうもおられるようですが、そんな単純な話ではございません。
物のクオリティをしっかりと伝えること、それが私の責務です。それは吉田明氏の作品に対し理解し、
愛情と尊敬をもってあたらせて頂いていることをまずは前提にご覧頂きたく思っております。
私をご存知の方であればそんなことは当たり前!と逆に諭されることでしょう。
そもそも、作品の値段とは何でしょうか。作家が決めたもの。確かにそれもそうです。ですが、買い手が
あってこその成立する価格は、そこにどれだけ付加価値を見出せるかであって、18万の茶碗が仮に
2万円であっても要らない人にとっては要らないわけです。人が違えばこうも違う。18万の茶碗を安いと
思って買われる方もいます。今展ではそんな茶碗が特別な価格で販売されていることに皆様はどの様に
お考えでしょうか。こんな機会はまたとないのです。奥様のご好意もあります。それだけではありません。
それを分かってくれるであろうと、使って活かして下さるであろうと、そんな気持ちの良い話なのです。
この粋な計らいは吉田明先生もさぞ喜んでくれていることと思います。

そこで、私からご提案がございます。皆さん毎日どんな飯碗をお使いですか?
今すぐご確認下さい。
ご飯はほぼ毎日食べるもの、食事の大切な器のひとつです。ぐい呑なんかよりもずっと使う頻度が
多く、酷使される器です。どんなものでも一番良く使うものを、良いものにしたいと思うのは当然です。
飯碗はどうでしょうか。まさか100円ショップはないと思いますが、自分が食べるご飯茶碗はそれなりの
ものでなくてはと思いませんか。驚くことではなく、すごく当然で自然な流れです。
実は今回、それが見つかる素晴らしい展覧会と云えるのです。十数万していた抹茶茶碗が、数万円で
手に入る。これ、飯碗に使えませんか?使ったらいいんじゃないでしょうか。まさに極上の飯碗。
しかし、それがどんな茶碗でも良いのかといえばそんなことはなくて、意外と難しいのです。
ご飯を食べてもお茶を点てても美味しい茶碗なんて、そうそうはないものです。でも今展ならばそれが
見つかるかもしれないのです。使ってこその器、使われて良くなる器の姿、愛着が沸き手放せなくなる
器。そんな器に出会える機会です。ただの安売り王だと思って来られては困ります。真剣勝負なのです。
2万円のぐい呑よりもまずは2万円の飯碗を買うのが先と私は思います。
まだまだ良い「飯碗」が多数ございます。「つなげる、その先に…想いも飯碗も」 
2019年3月吉日 店主大越



吉田 明 飯碗/三島茶碗、汁碗/粉引茶碗、小付/粉引耳盃、絵唐津輪花豆皿


「それぞれの基準」
冬のこの季節、朝お店に行きますと室温は2度前後、ほぼほぼ外気と変わりません。古い日本家屋を
手直ししたギャラリーなので、もちろんサッシなんてもんは無くて、隙間風がピューピューです。
ファンヒーターとストーブ2台をフル稼働して15度くらいにはなるのですが、お客様には少々寒い
思いをして頂いているかもしれません。私は毎日そんな環境なので慣れていて代謝も良くなり風邪も
引かずに身体には良さそうで、ある意味これが健全で、昔の人は凄い!くらいに思えて嬉しいです。
実はこれが自宅に帰ると妻とのケンカの火種になります。帰宅してリビングに入ると、
まるで常夏の様な暑さ。ファンヒーターの設定温度を見ると22度設定。ボンボンとうねりを上げて、
まるでストーブの最高出力テストでもしてるのかと思うくらいです。今年は灯油も高いですし、私は
せいぜい18度もあれば暑過ぎる身体になっているものですから、ピッピッピッと設定温度を下げると、
「寒いから勝手に下げないでよー」となって、些細なケンカの始まりとなります。(ほぼ毎日・・・)
基準の違いで、自分では当たり前と思っていることも、環境や使う人が変わればここまで違うかと
思わされる話です。ここでこの話が終われば、私の嫁に対するただの愚痴をお聞かせしたに過ぎず、
何ともレベルの低いお話ですが、ここからです。
今回25日から開催される吉田明展では、先生がご生前のころ、個展などで10数万していた茶碗が、
2万円や3万円などでお求め頂けます。もちろんこれには条件もあるのですが、例えば箱が付きません。
そして吉田夫人も体調優れずで識箱の箱書きもされません。つまり作品だけのお値段ということです。
(作品を保護するための桐箱の製作はご希望なら承ります。)
それは今展の主題でもありますが、使って欲しいと云う願い、いつまでも側に置いてほしい、そんな想い
と、少しでも多くの方に求めて頂けてお持ち頂けることが主旨となっています。
ですから、茶碗としたら例えば18万していた茶碗が2万円なんて安すぎる、日々お茶を点てて愉しむ
方にはこの上なくありがたいわけですが、それが器として鉢として使う目的としたらどうでしょうか。
もともと器として作られた若手作家の鉢や向付けならそんなにもしないわけですから。
ですが、器に関して一定の理解と認識がある方であればお分かりの通り、茶碗として作られたものの
クオリティは流石にただならぬ空気感を放っています。そんな器はない。それが吉田品質であれば
なおさらです。
酒席の場に肴を盛るこの上ない器として見ることが出来てそれで2万なら安いものか、お抹茶を点てる
純粋な茶碗として2万は安いのか。それはそれぞれの基準が存在します。
でもこれだけは云えます。その器はどちらで使っても良いのです。飯碗としたとしても良いのです。
2019年2月吉日 大越拝


吉田 明 黒織部茶碗 





「お見逃しなく」
今年は2月になっても雪がなく、日中10度を超える温かな日もあったりで、このまま春になれば
いいのになー、なんて思ってましたらそうはいきませんでした。!やはり雪国なのです。
春が少し先送りといった感じですが、雪景色もまた良いものです。

さて、ご案内の通り、25日からは吉田明先生の回顧展、第3弾をお贈りいたします。
今回の特徴は、実際に使われた吉田明作品をご覧頂いたり、特に粉引の優品が揃っていますので
使い込んでの愉しさ、魅力を感じて頂ければと思っています。そして最大の魅力はお値段です。
吉田先生が60歳で亡くなられ11年目、吉田夫人もご高齢とあり、体調もあまり優れないため、
ゆくゆくのことも考えるとあまり時間もなく、「より多くの皆様に吉田の作品を知って頂きたい。」
使ってみて頂きたい。」その想いから、今回は大幅に価格を下げたかたちでの開催となります。
4回目があるか、それは正直わかりません。でも今買っておかなければ、新しい作品は生まれて
きませんし、本当に良い器とは何か、それを知る上でも吉田さんの器は大きな参考資料です。
こんなまたとない機会、見逃す手はございません。是非多くの皆様にお手に取って頂きまして、
その良さをお感じ頂けましたら幸いです。どうか是非お見逃しなきようお願い申し上げます。
2019年2月吉日 店主 大越拝


吉田 明 粉引碗 左が使用されたもの、右は同手の未使用品


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昨年の12月にお客様よりお誘いを頂きまして、長野市内で忘年会に参加をさせて頂きました。
大変素晴らしい内容でしたので、茶会記ならぬ酒会記にしておきたいと思いまして記録して
みました。本当は茶会記様式に縦書きにしたかったのですが、いまひとつ雰囲気出ず恐縮です。
今後もお招きを頂いた時にご紹介させて頂こうと思っています。
「酒会記」は写真ではなく、文字だけと云うところがポイントでして、皆様のご想像で場景を想い
画いて頂けましたら幸いです。

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酒会記

床 (画) 平山郁夫 「善光寺」 / 澤 克典 信楽壷

<酒肴> 創作懐石
前菜  カモロース・さつまいもの甘煮・野沢菜漬け / 器 澤 克典 弥七田織部向付

向付(お造り) 〆さば・かます焼霜作り / 器 深見文紀 絵志野向付 ・樋口雅之 鼠志野小付

炊き合わせ  牛と大根のやわらか煮 / 器 西岡 悠 黄瀬戸輪花向付

焼き物  寒鰤の照り焼き 太しめじ・日本かぼちゃ添え / 器 近藤正彦 備前薔薇皿

揚物  どじょうの唐揚げ / 器 鈴木 都 紅志野向付

香の物  器 澤 克典 織部小向付

※器は全てつた弥様

<お膳>
根来隅切膳 (桃山時代) /ご参加者所蔵品

<酒>
栄光富士(山形)
一滴二滴(長野)
美寿々(長野)

以下ご参加者持参の逸品色々
<酒器>
金重晃介 備前緋襷徳利
吉田 明  粉引徳利
<酒盃>
吉田 明 粉引盃
李朝染付盃
黄瀬戸六角盃(時代)
山口真人 鼠志野ぐい呑
梅田健太郎 絵唐津ぐい呑
竹花正弘 斑唐津盃
古伊万里白磁猪口
金重潤平 備前酒呑
澤 克典 信楽ぐい呑
金重晃介 備前酒呑

ところ
山帰来 つた弥  (長野市) /料理人 宮澤 達  Sankirai Tsutaya by Satoru Miyazawa
2018年12月吉日

記録 ギャラリー謙信庵 店主大越文彦

※酒宴となりました善光寺西口の「つた弥」さんでは現代作家の器を沢山揃えておられまして、
4−6名であれば、作家の器だけの個別のコース料理などもご用意されております。
工芸好きにはたまらないひと時をご提供されています。

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「やってみること」
大古伊万里展も今週が最後となりました。雪の舞う中、多数のご来店を賜り御礼を申し上げます。
この季節、日本海では甘エビ(南蛮海老)が産卵の時期で子持ちの甘エビがスーパーに並びます。
丁寧に殻をむいて子を取り出して、お醤油に混ぜまず。身はそのままでも良いのですが、叩くと
甘さが増すようで美味しく頂けます。冬のヒラメも脂がのっています。
そんな肴が手に入り、今一度試してみたい器がありました。
今展、色絵の華やかな古伊万里が並ぶ中、手抜きとも思える一番簡素な染付の長皿です。
片側にしか描かれていない松竹梅の図は、お刺身とひとつの景色となって見えてきました。
これはすごい。この簡単なえだけでお料理を映えさせる力があるんです。同時に潔さみたいな、
清々しい風が流れていくのを感じます。手抜きとは何たる思い込みか。
お料理人の指示か、陶工の粋さか、どちらにしてもこうなることを分かっている人の仕業としか
云わざるをえません。この時点ではじめて完全に恐れ入りましたと云う瞬間が訪れます。
そんな瞬間こそが工芸の愉しみではないでしょうか。あらためて痛感させられた瞬間です。
お求めの器にも、まだ気づいていない魅力が詰まっているかもしれません。
やってみることでしか分からない、それが工芸です。
2019年1月吉日 店主 大越拝




この徳利は伊勢崎晃一朗さんの初期の徳利です。燗で使うのは初めて。使ってみれば、竹節の首が
鍋の縁に丁度あたる感じでとても安定して燗がつけれます。新発見であります。備前の徳利は熱伝導
も良く燗酒には最適です。冷めずらいのも備前の特徴ですね。





「揃っていること」
皆様、新年あけましておめでとうございます。今年最初のメッセージ更新です。
こちら新潟の話ではございますが、今のところ雪も少なく助かっております。この週末連休もお天気は
まずまずのようで、新春大古伊万里展もスタートがきれそうです。
今展はお知らせの通り、蕎麦猪口と色絵の器を沢山集めました。もちろん人気の染付も充実です。
器類は同じものが五客、六客と揃っているものを多く扱っています。やっぱり器は揃っていると
とても見え方が良いですし、心地よい緊張感も出ます。お料理やさんなどは当然ですが、ご自宅で
やるときにも是非必要な分だけではなくて、きちんと数を揃えておくことも将来的には器の価値も
上がりますし、所有する喜びも大きくなります。同じものはその時でなければ、あとあと探しても
そう見付かるものではありません。作家さんの器も同様です。大人買いではありませんが、気持ちよく
スパッとセットでお求めのお客様を見ると、とてもかっこよく見えます。お客様の心意気も含めて粋な
器使いを是非期待しております!とわ云え、一人二人でお愉しみの方々に五客、六客は厳しいですね。
そこはご相談下さい。そういったご要望にもきちんと向き合っております。ただ、気持ちとしてはですが、
やはり一人で使うしかなかったとしても、それを五枚持ってるんだよ、って自慢できる方がかっこいいです。
同時にこの人は器の分かる人だ。となります。結果的にですが工芸を育てる、作家を育てると云うことは、
そうしたことからも大いに繋がるものです。今なぜ、この200年も300年も経過した古いやきものの器が、
同じ窯の同じ手のものが揃って目の前にあるのかを考えねばなりません。
2019年1月吉日 店主 大越拝














「お正月のオリベ」
今年も数々の展覧会を開催して参りました。本当に多数のご厚情を賜りまして誠に有難うございました。
澤さんの展覧会が本年最後となりました。どうぞ最後まで宜しくお願い申し上げます。

先の展覧でご紹介した古伊万里も時代の流れの中でただただ使われるために焼かれていた器です。
その筆致や形状には衒いのない器としての道具としての完成度を見ます。そこが好きな理由です。
前にも述べましたが古ければ良いわけではありません。そんなことを証明してくれているのが澤さんの
織部の器です。今の時代だからこそ似合うもの、現代のスタイルに無理なく取り入れられる器こそが、
その時代を後世に残し、器の良さをつないでいきます。
澤さんの絵付けも5,6年前に比べれば比べものにならないくらい板に付いている感じが心地よく、
お料理が盛られればたちまちその良さを見せつけます。写真の様に全て澤さんの織部でやることは
なかなか難しいことではありますが、同じ作家の器で揃えてみると、その作家の世界観が痛快です。
そもそも織部は、桃山時代、驚きや意外性、明るさや華をもたらす器であったと考えられます。
重箱の蓋を開けた時の、「わあっ」という感動みたいなもの。そんな心躍る器でございます。
是非この年末年始、澤さんの織部の器をご用意されてみてはいかがでしょうか。
今回は豆皿などの小物も大変充実しております。新作の銚子や三盃、取り皿や向付も魅力です。
今年をしめくくる器が並んでおります。澤さんに心から感謝申し上げますと共に、今年も皆様と工芸を
愉しませて頂いたこと、ご縁を賜りましたこと、重ねて御礼を申し上げます。
2018年12月吉日 店主 大越拝





「お正月らしさ お正月の器」
12月にして気温が20度を超える異例の気象状況。暖かいのはありがたいですが季節感が
ちょっと変な感じです。この週末からいよいよ本格的な寒気が到来しそうです。寒暖の差に
身体がついていきません。どうか皆様もご多忙な年末です、ご自愛くださいませ。

「ご多忙」と云いますと、歳を重ねるほどに、とにかく一年が早くて驚きます。忙しいから早い、
ということもあるかもしれませんが、大人と子供では時間の流れがどうも違うようです。
それは「経験」がそうさせるそうで、子供は未体験のことが多いため、常にそのことへの期待や
不安、楽しみを抱いて過ごしているから、先々の読めない出来事を待つことが多くなります。
「楽しみは先にとっておく」なんてことは大人はあまりないですが、子供は常にその状態で、待てば
待つほど時間は長く感じるために、長いスパンで見ると時間の流れが遅く感じているようです。
大人は経験が邪魔をして、これから起こること、もしくは、これから行くところや見たいものが、
ある程度事前に予想がつくために、あまりワクワク感やドキドキ感が少ないために、先々の
目標や出来事に対して楽しみが持てないようです。このことによって先々の楽しみを待つような
ことはあまりせずに、日々その時その時を生きていることで時間が早く感じるのだそうです。
大人も子供のように、例えば誕生日やクリスマスプレゼントを楽しみにする様な、半年や一年先に
楽しみを置いて、そこに向かって仕事や生活をしていたら、少しは時間が長くなるかもしれません。
「時の流れが早すぎる」というのは、正しく「事前に知り過ぎてしまった」からなのだと思います。
インスタやFBなどのSNSやネット検索で何でも直ぐに調べられたり見たりすることが出来ますが、
これも、例えば現地へ赴くことであったり、実際にその人に会い行って分かったこと、であるならば、
時間はきっと長く感じるのだと思います。平等に与えられた時間です。どう感じるかの違いは
人生においてあまりに大きいと感じる今日このごろでございます。

そのことと大いに関係すると思いますが、「お正月らしいお正月」ってなんでしょうか。これも幼き
ころは親に連れられて祖父母の待つ実家に帰省したり、そこで起こることや知らない親戚の人に
合ったりで、色々なお正月の空気みたいなものが確かに存在していたように思います。
普段見たこともない器で出てきたお料理、見たこともないお正月飾りやしつらいであったり。全ては
お正月の経験した回数が少ないことから、ある種の「新鮮味」に置き換えることが出来るでしょう。
では、「最近お正月らしさが感じられない」 ままで良いのでしょうか。なんかもったいない気がします。
忙しく日々を過ごし、さつばつとした社会に身を投じる毎日だからこそ、そこは大切にしなければ
ならないのではと思います。開催中の古伊万里特集もそうですが、15日(土)からは今年最後の
展覧会「 澤克典 お正月のオリベ 」 を開催します。この二つの企画は正にそこに当てたものです。
来年は年号も変わります。平成最後のお正月。是非少し先の楽しみとお正月らしさを探求されて
みてはいかがでしょうか。
2018年12月 店主 大越拝


古伊万里大なます皿 江戸後期




「アンティークの世界」
しばらくの間、備前の吉川恵司さん、金重備前の秀作をご覧頂いて参りました。
備前は鎌倉室町、更には平安にさかのぼる須恵器の影響も受けた古い様式のやきものです。
土という素材に魅せられ、これまで数々の著名な蒐集家によってその魅力も伝えられてきました。
本当に良いものというのは、古いも新しいもありません。ただ、自分にとってどんな備前が好ましいか、
ただそれだけで良いのだと思います。様々な知識を葬り去って、自分の中に何が残るか。
そのピュアな眼で選択されていかれたら良いと思います。ご高覧ご厚情に感謝申し上げます。

さて、今年は何時になく、古いものの特集を重ねてきました。今年で四回目の今展です。
古伊万里と云うと、最近はなんだか有り触れた感があって、古美術というよりは古民芸。
しかし、初期伊万里や、全盛期と云われる元禄伊万里(江戸中期)ごろのものとなれば、
非常に繊細でハイレベルなものも多く、その価格もやや高価と云えるでしょう。
しかし、その流れを汲んで、それでも職人が端正込めて心を込めて作られた伊万里には、
大変魅力的なものもございます。価格の面でもですが。それが江戸後期の伊万里です。
10年も前からすれば、随分とお求め易くはなりました。でも、厳選しなければなりません。
皆様にお薦めする今回の古伊万里。なかなかいい味を出しています。
是非お手に取りご覧頂きたく存じます。
古伊万里の他にも年末年始にもお愉しみ頂きたい古きもの色々満載です。

それから最後にもうひとつだけ、アンティークの世界について。最近は古美術や古民芸に
若い方々が随分と関心をもたれており、古物を好む方も増加傾向にあるように思います。
ただ、気を付けねばならないことは、「古いから良いもの」ではありません。更には、
新しいもの(今の作家のも)が使えていなければ、古いものの魅力は半減してしまいます。
(言い換えれば、物の良さが見れない。伝わらない。ブランドに走る怖さ)
今生きる私たちが今のものを見なければ始まりません。その上で古いものが活きてくること、
それを忘れてはならないのです。
2018年11月吉日 店主 大越拝





染付山水 差身皿(刺身皿)拾人前  



































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